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歯周病の原因論を21世紀型に切り替えよう

2022年10月15日

下北沢井上デンタルクリニックでは皆様の歯の寿命を延ばすために
歯周病治療にも力を入れております。

歯周病の原因は、梅毒や結核、肺炎など他のお体の感染症に原因菌があるように
3種類の歯周病菌が同定されています。

ただ、歴史を紐解くと歯周病の原因は様々な変遷を経て今に至ります。

よく歯科医院で歯周病の原因は「歯石」です。
歯周病の原因である「歯石」がつかないようには歯磨きをがんばりましょうと
聞いたことがあるかと思います。


ただ、これは1930年頃に言われた歯周病の原因論で、今となってはもちろん
過去の遺産です。

【歯周病の原因論の変遷】
1930年頃 歯石
1960年頃 プラークの量
1975年頃 歯周病原性細菌
1990年頃 歯周組織の抵抗性の減弱
2000年頃 レッドコンプレックス(歯周病菌)の感染
2010年頃 共生関係の破綻

このように時代とともに歯周病の原因は大きく変遷してきました。

単純に歯石やプラークと言った汚れ(細菌)が原因で歯周病を引き起こしているわけではなく
今はこの共生関係の破綻が歯周病の発症に大きく関連しています。

歯周病発症のきっかけとなる共生関係の破綻とは、
「バイオフィルム(歯の表面の細菌の塊)VS歯周組織(歯肉やそのまわりの部分の抵抗性)」の均衡の崩壊を意味しており、逆を返すと健康な歯肉はこの2つのバランスが常に取れて健康状態を維持しています。

この均衡が破られたとき初めて歯周病が発症しますので、歯周病菌に感染することで
すぐに症状を発症しポケットが深くなったりするわけではありません。

そしてこのバランスが崩れる(歯周病が発症する)きかっけは2つあります。

一つは既存のバイオフィルム(歯の表面の細菌の塊)の病原性が高まること。
これはバイオフィルム周囲の栄養状態、温度、pH、嫌気度などの変化によって、
口腔内細菌が活気づき、病原性を高めます。

これら高病原性化は何か別の新しい細菌の感染によって引き起こされているわけではなく
むしろ歯肉の”出血”が最大の原因となります。

そしてもう一つは近年発見された事象ですが、
P.g菌と言われる歯周病菌が歯肉内、つまりは体内にまで侵入し
歯肉組織の抵抗性を弱めることです。

ですので歯石除去することが最大の歯周病治療ではなく、
発症のきっかけとなるこの均衡が破られた状態をどのように元に戻していくのか?
細胞に侵入したP.g菌をどのように減らしたらよいのか?

これが21世紀型の歯周病の科学に基づいた根本的な治療の方向性になるのです。

下北沢井上デンタルクリニックではこのような知見に基づき、
歯周病の発症・予防を積極的に治療しておりますので
お困りのことがありましたら早めにご相談下さい。

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