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歯がなくなる大きな原因①

2024年4月8日

歯をできるだけ温存し歯の寿命を延ばすことに力をいれている
下北沢井上デンタルクリニックです。

今回からあまり当院でのケースは多くないものの
「抜歯」に至るケールの大きな理由の一つの
「むし歯で抜歯」の状況をお伝えしたいと思います。

むし歯で歯を抜くとお話しするとまずほとんどの方が想像するのが
歯が痛すぎて抜くと思われる場合が多いのですが
歯科医院で抜歯するケースで痛みが強すぎて仕方がなく抜歯をする状況はほとんどありません。

むしろ、痛みがないむし歯で抜歯をするケースがほとんどです。

どういうことかと申しますと、
むし歯で歯を抜くほとんどの歯が、過去の治療において歯の神経をお取りになっている場合が
私見ではほぼ95%くらいを占めます。

つまり抜歯する歯の大部分が過去に神経の処理をされている歯です。

医学的には歯の神経を処置をしても歯が脆くなったり、むし歯になりやすくなったりすることは
認められていませんが、多くの場合は神経を処理するとその後に痛みなどの自覚症状が全くでないので
気づいたときにはかなりむし歯が歯の内部に進行し、突然かぶせ物が取れたり、詰め物かぶせ物の
隙間に食べ物が詰まりやすくなったりしてお気づきになる場合が多いと思います。

また神経を処理して歯を作る際は、
何ステップも治療を組み合わせて最終的な歯をかぶせ物する場合が多いので、
その状況でテクニカルエラーが生じて歯の中がむし歯になってしまっているケースが
非常に多いと思います。

歯を残せるか残せないか基準は、健康な歯の部分が歯茎より高さ2mm前後、厚み1.5mm前後あれば
フェルールという概念でその上に歯を作っても長期的に耐えられるというエビデンスがありますので
逆をかえすとそれ以下しか歯が残っていないと抜歯の適応基準内に入ってしまいます。

もちろん、クラウンレングスニング(歯茎の位置を残っている健康な歯質より下にもってくる処置)や
エクストリュージョン(矯正器具を両側の歯を利用し引っ張り上げる処置)をして
歯と歯茎の位置関係を逆転させる方法もあるので、フェルールがなくてもすぐに抜歯にはなりません。
ただ、このクラウンレングスニングも歯冠歯根比(歯の頭の大きさと根っこの大きさの比率)を人工的に変えることで負担がかかりやすくなり将来的に歯根破折を起こしたり、
歯の場所(複根歯と呼ばれる奥歯)によっては歯茎の位置を下げることで
将来的に人工的に分岐部病変を引き起こすリスクもありますので
すべてにおいてこの2つの処置が適応できるかどうかは状況次第となります。

過去に神経を処理しているかぶせ物や差し歯の中がむし歯になっていたり、
奥歯の歯茎の境目部分がむし歯になっていたりすると
歯の温存が難しく抜歯に至るケースもありますので

ご自身の歯で神経を取っている歯が何本ありどこにあるのか
自分の目で見えない奥の方にむし歯がないかどうかは
ご自宅の鏡でしっかり見ても確認できませんので
定期的に歯科医院を受診されしっかり確認された方がよいかと思います。


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