Directbonding
可能な限り削らないで歯の寿命を延ばす、新しい歯科医療技術の詰まった治療方法です。
みなさんにはこのダイレクトボンディングという治療方法は聞きなれないかもしれません。
それもそのはずで、この治療方法を導入している歯科医院は全国でも少なく、さらにこの治療を積極的に推奨している歯科医院となるとごくわずかです。
「むし歯で悪いところだけを小さく削り、強力な接着材でマイクロフィラーコンポジットレジンと言われる材料を直接きれいに埋める」のがダイレクトボンディングです。
さらに詳しくこの治療方法の特徴を説明するには、以前までのむし歯の治療方法を交えながらお話ししたほうがわかりやすいかと思います。
従来では、むし歯の治療で削って除去した部分を補うために、銀歯やセラミックスなどの人工物である詰め物を作って接着材でつけるのが一般的です。もちろん当院でもそのような治療方法をすることもあります。ただ詰め物はあくまでも人工物ですから歯に自然につかないため、接着材の弱さを補うために、むし歯でなくなってしまった部分よりも多くの健康な歯の部分をある決まった法則(100年以上前に提唱されたG.B.Blackの窩洞形成の原則)にのっとって削り、歯を治すのが歯科治療のスタンダードでした。
しかし、進行した大きなむし歯や、すでに詰め物が入っている歯の再治療にはこの方法が適切かもしれませんが、初期の小さなむし歯や中期のむし歯ではこの方法はより多くの健康な歯を犠牲にするのも事実です。
健康な歯をたくさん残し削らないようにする治療こそが歯の寿命を長く伸ばすとわかっていますので、ダイレクトボンディングという治療はそのような考え方にマッチした最適な方法です。
ダイレクトボンディングと比較される他の治療法との違いを記します。メリット・デメリットをご理解頂き治療選択の一助になれば幸いです。
ダイレクトボンディング | セラミックスの詰め物 | 銀歯の詰め物 | |
---|---|---|---|
素材 | マイクロフィラーコンポジットレジン | 二ケイ酸リチウムガラスセラミックス | 金銀パラジウム合金 |
治療回数 | 1回 | 2~3回 | 2~3回 |
一回の治療時間 | 60分 | 40分 | 30分 |
治療の際に歯を削る量 | 少ない | 多い | 多い |
素材の適合精度 | 化学的に歯に接着する液体の特殊な接着剤を使用するので厚みが出ず段差ができづらく精度が高い | 歯型を取り模型におこして詰め物を作るので銀歯などの素材よりは圧倒的に精密に作成できるが、粘性のある接着剤でつけるのでダイレクトボンディングよりは劣る | 金銀パラジウム合金が加工がしづらいなので、接着した時にはむし歯菌の大きさの約30倍の100㎛ぐらいのギャップが生じていると言われている。 |
強度 | 経年的に摩耗するリスクあり | 強い | 金属なので歯よりも強度が強すぎる |
治療終了時のきれいさ | きれい | よりきれい | 劣る |
着色 | 治療後に経年的に変化 | 治療時と変わらず | 治療時と変わらず |
摩耗 | すり減りやすい | すり減りにくい | しない |
接着強さ | 強い(むし歯を削ったあとすぐに直接素材をいれて治療終了となるので削った面が口の中の細菌に暴露され汚れることがなく外れにくい) | 強い(ただ、型取りをし製作に1週間前後の時間がかかるためその間に仮の蓋が取れたり、接着を阻害する汚れが歯の内面に付着してしまうリスクがある。) | 弱い(歯と金属を接着させるのがなかなか難しく、セラミックスの詰め物の約1/3くらいの接着強さなので他のやり方に比べ外れやすく内面がむし歯になりやすい) |
費用 | ¥20,000~¥60,000 むし歯の大きさと施術難易度により決まりますので、術前にご説明いたします。 (1部位平均¥25,000くらい) | ¥77,000 (大きさ、形によらず定額) |
保険治療なので3割負担だと3,000円~5,000円くらい |
適応範囲 | 狭い(初期むし歯~中等度むし歯) | 広い(ほぼすべてのむし歯治療に対応できる) | 広い(ほぼすべてのむし歯治療に対応できる) |
保証期間 | 3年 | 3年 | 保険治療なのでなし |